スキー/スノーボード手袋に使われているインナーについて私の知っている事
を書きます。
防寒性は殆どがこのインナーに依存されます。 従って、防寒性とフィット感、その他いろんな要素が必要ですので、時代によ って、材質の変遷が結構ありました。 昔のスキー手袋で多かったのが、「特紡」といわれる材料です。 その後、「ナイロン」が出て、「ナイロン起毛」の物と続きます。 そして、「ベンベルグ」を使う様になりました。少し前のスキー全盛(バブル) の頃は、殆どこれを使っていたように思います。今でも私個人は、はき心地が 良く好きなインナーです。又最近は黒っぽい手袋が多くなるにつれてベンベルグ も黒色を使いはじめました。 少数派では、「シンサレート」「わた裏(ミトン用)」と呼ばれる物もありまし た。ただ表面というか手に当たる面はベンベルグを使ってます。 シンサレートというのは、綿を圧縮した様な素材で新素材と言ってもいいかな? 暖かいという事ですが、仕上げの時の熱で、さらに圧縮され固くなる傾向があ ります。強度的な弱点もありそうで、私自身はちょっと使いにくい気もします。 現在、一番多いのが、「甲部アクリルボア/平部ベンベルグ」です。 それ以前の「オールボア」では平の部分が厚過ぎた為、グリップ感が悪くなる という欠点がありました。それを是正する為に、平部にベンベルグを使った物に 変わっていったのです。 スノーボード用手袋では少し事情が違います。インナー取り外し式では殆どが 「フリース」素材です。フリースは暖かくてなかなか良さそうですが、生産国や 生産メーカーによって品質に差が有るようです。安物だと非常に毛玉が出来 やすいという欠点もあります。当社製品で一部使っている薄い方のフリースは その毛玉が出来にくい上に、はき心地が抜群ですが、もうあまり製造されていない と聞きました。 これらフリースは、以後もっと普及してきたら品質的にも安定すると思います。 尚、スノーボード用手袋でインナー取り外しを採用するか否かは、これから評価が 固まってくる事でしょう。 その他の材料はというと、純粋なインナーとは違いますが、「ゴアテックス」 をインナーの上にかぶせる方法(ゴアテックスインサート)が 7〜8年程前に結構 流行りました。 これで、完全防水の手袋の出来上がりとなります。しかも「透湿」という事で 、通気性も確保され、一見万能の手袋と思えました。 ところが、大きな欠点が有りました。 理由を知りたい方は長くなりますので こちら(ゴアテックスの欠点) でどうぞ。 評価を下表に記しますが、インナーに張るウレタンの厚さなどによっても相当 違ってきますので、実際に出来上がった商品については一概には言えない事も事 実です。 (今回書いているインナーはすべて現在も使われてます) |
◎
が右の条件に
最も近い事を表します (相対評価) | 暖かい |
手の動
きを妨 げない |
はき心
地が良 い | 丈夫だ |
価格が
安い | ひとこと |
フリース | 〇 | △ | 〇 | 〇 | △ | 出だしの頃は高かった |
ボア×ベンベルグ | 〇 | 〇 | ◎ | 〇 | △ | 最近の主流 |
全面アクリルボア | ◎ | × | ◎ | △ | × | 平部まで過大な暖かさは? |
ベンベルグ | △ | ◎ | ◎ | 〇 | 〇 | インナーの標準(基準) |
シンサレート | 〇 | 〇 | △ | △ | △ | アピール度はあるが |
ナイロン起毛 | △ | 〇 | × | ◎ | 〇 | ささくれ指に引っかかる |
ナイロン | × | ◎ | △ | ◎ | ◎ | 手を入れた瞬間がヒヤリ |
特紡 | △ | ◎ | 〇 | △ | ◎ | 合皮の子供用に多い |
ゴアテックス+ | +α | △ | △ | × | ××× | 防水性はほぼ完璧だが・・ |
1-4 (1998.12/16改)
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